学生時代や社会人になってから、マンションを借りて一人暮らしをした方も多いと思います。
また借家に家族で暮らす方も少なくはないと思います。
今回は賃貸物件を借りる際に加入する火災保険について深掘りしていきます。
何故火災保険が必要なのか
賃貸生活を始める際、多くの方が加入をする火災保険。
その必要性は、万が一の火災で入居者がオーナーに対して負う可能性のある賠償責任に備えるためです。
しかし、『失火責任法があるのに、なぜ自分で火災保険に入る必要があるのだろう?』と疑問に感じる方もいるかもしれません。
失火責任法については以前の記事で紹介していますので、まだ読んでいない方は是非ご参照下さい。
→【納得の深掘り】失火責任法でナゾと疑問を解消!
今回ポイントとなるのは以下の3つです。
・自己所有物/家財(主契約)
・オーナーへの賠償/借家人賠償特約(特約)
・他人への賠償/個人賠償特約(特約)
ひとつひとつ解説していきます。
読んでいただくと全て納得できますので、最後までお付き合いください。
*主契約…ベースになる保険。ここでは火災保険を指します。
*特約…主契約があって初めて追加できる補償を指します。

自己所有物/家財(主契約)
これは、皆さんが賃貸物件に持ち込んだ、ベッド、洋服、キッチン用品といった生活に必要な家財道具のことです。
この家財道具を主契約として火災保険に加入します。
補償内容や補償金額の設定は以前、紹介した通りです。
1人暮らしかファミリーかで必要額が異なりますので目安を参考にしたり、加入時にしっかり相談の上設定しましょう。
詳しくはこちらで説明していますのでご参考にしてください。
→ 何に火災保険をかけるべき?|わかりにくい補償対象を解説
オーナーへの賠償/借家人賠償(特約)
今回のメインテーマです。
以下で詳しく解説していきます。
建物について:
建物はオーナーの所有物であるため、オーナー自身が火災保険に加入します。
これは、失火責任法において、自己の所有物の損害は自らが負うという原則があるためです。
家財について:
一方、家財は入居者自身の所有物ですので、入居者が火災保険に加入して守る必要があります。
賠償責任について:
賃貸契約においては、退去時に賃貸物件を入居時の状態に戻す「原状回復義務」が定められており、これは失火責任法とは別に、民法第616条の2(賃借物の返還義務等)に明記されています。
そのため、火災はもちろん、不注意による水漏れなどで借りた物件に損害を与えてしまった場合、入居者はこの原状回復義務に基づき、修理費用などを賠償しなければなりません。
そのための備えとなるのが、この借家人賠償特約なのです。
偶然な事故によって借用戸室に損害が生じた場合に、入居者が被る賠償費用や修理費用が補償される特約です。
例えば火災を起こした場合や、模様替え時に壁に穴を空けた、配管に物を詰まらせて水漏れを起こした等が当てはまります。
こういったことは意外と多く発生する為、必要不可欠な補償です。
他人への賠償/個人賠償(特約)
ここまでは、主に入居者からオーナーへの賠償責任について解説してきました。
続いて見ていくのは、第三者、具体的には同じマンションの他の入居者や近隣の方々への賠償責任に備えるための個人賠償特約です。
個人賠償特約は、第三者の身体や財物に対して賠償責任を負った場合の補償です。
例えば水漏れを起こし、下の階に住む方の持ち物に損害を与えた場合が当てはまります。
もし、自分の住む部屋から水漏れを起こして階下の住人の家財を濡らしてしまったら、階下の住人が損害賠償を求めるのは当然のことでしょう。
そのため、この個人賠償特約も必要不可欠な補償です。
また個人賠償特約は日常生活上を網羅するものなので、自転車で人に怪我をさせてしまった、お店で陳列しているものを倒してしまったといったことも補償されるので幅広い保険です。
必ず、契約に含まれているか確認するようにしましょう。
契約内容
・家財(主契約)
・借家人賠償(特約)
・個人賠償(特約)
賃貸契約に勧められる火災保険は、一般的に上記の3つの補償がセットになっていることが多いです。
主契約なしに特約のみを契約することはできません。これは他の保険商品にも共通する点ですので、覚えておくと良いでしょう。
また火災保険契約に関しては、賃貸契約を結ぶ際に一緒に契約することが多いです。
意外と印象に残らないこともあるので、保険会社からの郵送物や連絡に注意してください。
特に賃貸物件同様に、火災保険も契約更新があります。
稀に更新手続きをしていなかったため、火災保険がかかっていなかったという事案もあります。
万が一の際、非常に大きな金額が動くことになりますので重々注意するようにしてください。
まとめ
賃貸物件における火災保険は、単にご自身の家財を守るだけでなく、万が一の火災や事故によってオーナーや第三者に損害を与えてしまった場合の賠償責任を果たすためにも非常に重要です。
必ず加入しておきたいのは、ご自身の家財を補償する主契約に加え、オーナーへの賠償に備える借家人賠償特約、そして他の入居者や近隣住民への賠償に備える個人賠償特約の3つです。
賃貸契約時に勧められる火災保険には、これらの補償がセットになっていることが多いですが、契約内容をしっかりと確認することが大切です。
また、火災保険には更新があることも忘れずに、万が一の事態に備えて適切な保険に加入しておきましょう。
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