
日本の保険制度は、国や自治体が運営する「公的保険制度」と、民間の保険会社が提供する「民間保険」の二つの大きな柱で成り立っています。
「公的」と「民間」、言葉は聞いたことがあっても、具体的に何が違うのか、ちょっと分かりにくいですよね。
今回は、それぞれの特徴や役割、そして私たちの生活における関係性について解説します。
保険の概念
保険とは、多くの人が少しずつお金(保険料)を出し合い、もしもの時に困った人がいた場合に、そのお金で助け合う「相互扶助」の仕組みです。
一人ひとりが抱えるリスクを、みんなで分担することで、大きな経済的負担から守られるという考え方が根底にあります。
公的保険制度と民間保険は、どちらもこの相互扶助の精神に基づいています。
公的保険制度と民間保険|種類と目的の違い
公的保険制度は、国や地方自治体が運営する保険制度で、国民生活の安定と最低限の保障を目的としています。
法律に基づき、一定の条件を満たす国民は強制的に加入するものが多く、保険料は所得や年齢などに応じて決まります。
民間保険は、民間の保険会社が提供する保険商品で、個人の多様なニーズに合わせて、より手厚い保障やリスクに備えることを目的としています。
こちらのブログで解説してる損害保険や生命保険があてはまります。
加入は任意で、保険料は保障内容や加入者の状況によって異なります。
代表的な公的保険制度
・公的医療保険
健康保険、国民健康保険、傷病手当金など。
病気やケガの治療費を一部負担することで、国民全体の医療費負担を軽減する仕組みです。
高額療養費制度など、自己負担をさらに軽減する制度もあります。
・公的年金
国民年金、厚生年金など。老後の生活資金を確保するための制度です。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、公的年金に上乗せして任意で加入できる私的な年金制度です。
・公的介護保険
高齢になり介護が必要になった場合に、介護サービスを利用するための費用を補助する制度です。
・雇用保険
失業した際に、生活の安定と再就職を支援するための給付を行う制度です。
・労災保険
労働者が業務上の理由や通勤途中に病気やケガをした場合に、必要な給付を行う制度です。
代表的な民間保険
・損害保険
主に財産の損害や、他人に与えてしまった損害をカバーする保険を指します。
火災保険や自動車保険、傷害保険、賠償保険などが該当します。
・生命保険
主に人の身に起こるリスクに備える保険を指します。
生命保険や医療保険、がん保険、就業不能保険などが該当します。
ここは注意!
公的保険制度にない保障を、民間保険でカバーするというイメージを持つと理解しやすいでしょう。
ただ公的医療保険制度と民間保険である医療保険の関係性を覚えることをおすすめします。
公的医療保険制度は、医療費の自己負担額の上限を引き下げる仕組みです
医療費3割負担や、医療費の自己負担額上限を定める高額療養費制度など。
民間保険である医療保険は、自己負担を軽減するための給付金を提供する保険です。
手術に対する給付金や、公的医療保険制度の適用外である先進医療に対する保障など。
名称が似ているので混同してしまいますが、内容がわかればそこまで難しくはないです。
まとめ
公的保険は、私たちの生活における基本的なリスクに備えるための重要なセーフティネットです。
一方、民間保険は、公的保険ではカバーしきれないリスクや、より手厚い保障を個々のニーズに沿って準備するための選択肢となります。
「公的保険があるから民間保険は不要」と考えるのではなく、ご自身のライフプランや家族構成、経済状況などを考慮し、公的保険の内容を理解した上で、必要な民間保険を検討することが大切です。
それぞれの保険の役割を理解し、賢く活用することで、より安心した生活を送ることができます。
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