なぜ火災保険料は高い?納得して備えるための「保険料決定のポイント」

火災保険


損数ある損害保険の中でも、火災保険は比較的保険料の水準が高いと言えます。
保険料は、損害が発生する確率と、発生した場合の損害額に基づいて算出されます。
火災保険は火災だけでなく様々な災害にも対応できるようになっているため、保険料水準が高くなりがちですが、その理由だけではイメージしにくいかもしれません。
この記事を通して、少しでもその点にご納得いただければ幸いです。


保険料決定のポイント


保険料の水準は、主に以下の3つの要素によって大きく左右されます。

・建物の所在地
・建物の構造
・使用用途

上記の要素で保険料水準が決まり、あとは保険金額(建物や家財の価値)、補償範囲(どこまでの災害を補償するのか)、特約の有無で保険料が決まります。
順を追って解説します。


建物の所在地


建物の所在地とは都道府県を指します。
ご存知の通り、火災保険は火災だけでなく、様々な災害による損害も補償の対象となります。
風災や雪災、水災といった補償がある為、所在地によって損害が出る確率が異なります。
こういった背景から、地域毎で保険料の水準が変わります。

例えば、風災で思い浮かぶのは台風でしょう。
台風の進路を見ると、多くの場合は西日本が被害にあうケースが多いです。
雪災は、主に東北地方や北海道で発生することが多くあります。
このように、それぞれの地域で想定される災害リスクや、過去の保険金支払い実績に基づいて、保険料水準が決定されます。

しかしながら、近年は全国的に自然災害が増加傾向にあります。
そのため、以前ほど所在地によって保険料が大きく変動するという状況ではなくなってきています。
あくまで目安として、ご参考程度に留めていただければと思います。



建物の構造


ここでは、建物の骨組みが木造か鉄骨造か、そして建物が戸建てかマンションかといった構造の違いを指します。
ここでは、構造による違いを分かりやすくご説明するために、火災を例に挙げます。

木造と鉄骨造を比較した場合、一般的に木造の方が燃えやすいと言えます。
燃えやすい構造であるほど、火災発生時の損害が大きくなるリスクが高まるため、保険料も高めに設定される傾向があります。

鉄骨造は木造に比べて保険料水準が低い傾向にありますが、マンションの場合は、各住戸が耐火性の高いコンクリートで区画されているため、さらに保険料水準が低くなるのが一般的です。
マンションにお住まいの方の火災保険料が、戸建てに比べて割安になるのは、主にこのような構造上の特性によるものです。



使用用途


使用用途とは、その建物がもっぱら住宅として使われるのか、それとも店舗や事務所など事業目的でも使われる併用住宅なのかを指します。
事業目的で使用する場合でも、例えば事務所として使うのか、火を扱う飲食店として使うのかによって、火災のリスクは大きく異なります。
このような建物の使用状況に関する情報も、保険料水準を決定する上で考慮される要素となります。

さらに、事業専用の建物の場合、住宅とは保険料水準だけでなく、必要な補償内容も異なってきます。
事業目的であれば、特別な設備や什器を導入しているケースも多いため、それらに対する補償についても十分に検討する必要があります。



傾向


ここまでのご説明で、保険料のおおよその水準を予想できるかと思います。

災害が多い地域は保険料が高い
戸建てよりもマンションのほうが保険料が安い
併用住宅で飲食店をする場合は保険料が高い

このように、物件の立地環境や使用方法によって、保険料の水準は変動します。
加えて、保険金額の設定、補償範囲の広さ、特約の有無なども保険料に影響を与えます。
このように、様々な要因が組み合わさって保険料が決定されるため、最終的な保険料は加入者一人ひとり異なります。

この記事で解説した保険料決定のポイントを踏まえ、ご自身に最適な補償内容を選択し、万が一の際に役立つ火災保険にご加入いただければ幸いです。


余談とまとめ


住まい選びは、多くの方にとって非常に悩ましい決断だと思います。
憧れの場所、利便性の高い場所、子育てに適した環境など、重視する点は人それぞれでしょう。
中には、災害リスクの低いエリアを最優先に考える方もいらっしゃるでしょう。

ご存知の方も多いかと思いますが、国土交通省が運営するハザードマップポータルサイトは、地域の災害リスクを視覚的に確認できる、非常に有益な情報が満載のサービスです。
一見すると、災害が起こりにくい場所を見つけられそうに思えます。
しかしながら、近年の気候変動を考慮すると、いつどこで大規模な災害が発生しても不思議ではありません。

熊本地震発生前に、ある地域で罹災率を調査したところ、『きわめて可能性が低い』という結果が出ていました。
しかし、実際には甚大な被害が発生したことで、データだけが全てではないと改めて痛感しました。

災害に対する意識が高いことは、非常に重要なことです。
しかし、住まいは日々の生活の質を大きく左右するものであり、その満足度が最も重要であると言えるでしょう。
保険はあくまで万が一の事態に備えるためのものですので、ご自身やご家族にとって本当に快適な住まいを選んでいただくことが大切だと思います。



私が本当に伝えたいこと


住まいは、日々の生活の質を高める大切な場所です。
どうか、利便性を第一に、ご自身やご家族が心から満足できる場所を選んでください。
そして、万が一の災害や事故には、火災保険があなたの暮らしをしっかりと守ります。
だからこそ、火災保険料を単なるコストとして捉えるのではなく、「安心」という価値を買うための必要不可欠な経費としてご理解いただければ幸いです。


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