今回は火災保険を取り巻く特約について解説します。
代表的な特約から、特に重要なものや、注目されやすい特約もご紹介します。
保険会社によって用意されていないものや、内容が違う物もあります。
確実な内容はご加入の保険会社にお問い合わせください。
個人賠償責任補償特約
日常生活における不注意や住宅の管理不備などが原因で、他人にケガをさせたり、他人の物を壊してしまい、法律上の損害賠償責任を負った場合に補償します。
このブログでも度々触れている、個人賠償責任が発生した場合に備える保険です。
例えば、ベランダから物を落として人にケガをさせてしまった、マンションの配管が破裂して下の階の方の家財に損害を与えてしまった、自転車で人にケガをさせてしまったなど、非常に幅広い範囲を補償してくれる特約です。
多くの方が加入する、重要性の高い特約です。
自動車保険、火災保険、その他の保険にも付帯できる特約です。
重複して加入しないように注意が必要です。
弁護士費用特約
日本国内で、予期せず突発的な事故により身体にケガをしたり、物に損害を受けたりした場合に、相手方に対して法律上の損害賠償請求を行うための弁護士費用や法律相談費用を補償する特約です。
以前は自動車保険に限定されていた補償ですが、近年では日常生活における被害についても補償されるようになりました。
自転車事故や様々なトラブルで弁護士のサポートが必要となるケースが増えています。
弁護士費用特約に加入しておくと、いざという時の選択肢が広がるため、検討する価値は十分にあります。
臨時費用補償特約
保険金が支払われるような事故が発生した場合に、様々な臨時の費用を補填するものとして、損害保険金の〇〇%が支払われる特約です。
火災保険では、損害を受けた物に対して保険金が支払われます。
例えば、火災で燃えてしまった物の撤去費用は、原則として自己負担となります。
この特約は、そうした臨時の費用を補填することを目的としています。
例えば、台風による損害が100万円と認定され、臨時費用補償特約で10%が支払われる場合、100万円にその10%である10万円が加算され、合計110万円が支払われることになります。
災害時には、保険金だけではカバーできない様々な費用が発生しがちなので、この特約があると安心です。
類焼損害補償特約
自宅から出火し、その火が延焼して近隣の住宅に損害を与えてしまった場合で、延焼先の火災保険だけでは十分に復旧できない場合に、不足分の費用が補償されます。
失火責任法でご説明したように、自分の家の火事が隣家に燃え移ってしまった場合でも、原則として賠償責任は発生しません。
火災保険は各々で加入する必要がありますが、隣家が十分な保険に加入していない場合に、その不足分を補填する役割を果たすのがこの特約です。
保険料の負担も比較的少ないため、加入を検討する価値のある特約と言えるでしょう。
借家人賠償責任特約
賃貸物件にお住まいの方が対象となる特約です。
不慮の事故によって、借りている部屋に損害を与えてしまった場合に、貸主に対して負う法律上の賠償責任を補償する特約です。
失火責任法に加え、賃貸契約においては民法第616条の2(賃借物の返還義務等)により、退去時には、原則として原状回復して賃貸物件を返還する義務があります。
この特約は、そうした原状回復費用に備えるために用意されています。
火災による損害だけでなく、誤って壁に穴を開けてしまった、給排水設備を壊してしまったといった場合も補償対象となるため、賃貸物件にお住まいの方には必須と言える特約です。
賃貸期間中は常に必要となる特約ですので、更新手続きなどを忘れないように注意しましょう。
建物管理賠償責任補償特約
こちらは、マンションや一戸建てのオーナーの方にはぜひ加入を検討していただきたい特約です。
所有・管理する建物の不備が原因で、不慮の事故により他人にケガをさせてしまったり、他人の物を壊してしまったりした場合の賠償費用を補償する特約です。
例えば、マンションの壁が剥がれて通行人にケガをさせてしまった、経年劣化による水漏れで入居者の家財を濡らしてしまったといったケースが該当します。
意外とこういった事故は起こりうるため、加入しておくことを強くおすすめします。
家賃収入補償特約
こちらも、マンションや一戸建てのオーナーの方におすすめの特約です。
火災などの事故により、賃貸に出している家やアパートなどが損害を受け、修復期間中に得られなくなった家賃収入を補償するものです。
予期せぬ事故で家賃収入が途絶えてしまうと、経済的なダメージは大きくなります。
比較的新しい特約ですが、オーナーの方にとっては非常に重要な補償内容だと考えられます。
物件オーナーの方は、ぜひご検討ください。
まとめ
今回は、代表的な特約についてご紹介しました。
このように、様々な特約が用意されています。
保険会社によって規定や用意されている特約が異なりますので、この機会にぜひご自身の保険パンフレットをご確認いただくか、保険会社へお問い合わせください。
個人賠償責任補償特約と弁護士費用特約は、特に加入を強くおすすめする特約です。
近年、賠償に関するトラブルは増加傾向にあります。
また、これらの補償に加入している方が増えたことで、トラブル発生時にご自身で対応する手間を省き、保険会社や弁護士に任せるケースが増えています。
私自身も、この2つの補償には以前から加入しています。
万が一の事態に備え、ご自身を守るためにも、これらの特約への加入をご検討いただければ幸いです。
時代とともに、様々な新しい特約も登場しています。
気になる特約があれば、改めてご自身の契約内容をご確認いただくことをお勧めします。
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